空亡 大殺界の秘密
・占いに詳しくなり「空亡」「大殺界」という謎の怖いものが減ります。
・どこかの占いでスピリチュアル的な死刑宣告を受けてしまった人へ
どんな理屈が存在していたのかお伝えします。
・この記事を全部読むと5〜8分かかります。
僕の友人がどこかの四柱推命鑑定で、「空亡(くうぼう)の年だから悪い事が起こる」と言われて神社までお祓いに行ったそうです。
同じ事をした事がある人のため、今回はこの件を記事にしてみようかと思います。
四柱推命のみの解説なので、その他の占いの事についてはほぼ書いていません。
神社へ行くのはもちろん悪い事ではないのですが、怖がっちゃっていたので!
結論は「四柱推命は空亡を特に使わない」です。
というより、ほかの占いで使う概念です。
占いで言われて怖いし念の為お祓いをした
見えない世界というのは、怖いものです
占いも時々、そういった事が起こり得ます
ヨガに「無知の闇を、知の光で照らす」という教えがあります
暗闇の中の細長いものを、毒ヘビと勘違いして怖がってたけど
明かりを照らして見てみたら、単なる縄だったというお話
わからないから怖い。
つまり空亡も、単なる縄です。
世間では大凶かのように言いはやされてしまってますが、むしろその人にとって必要な「開運の星」だったという事さえあります。
何を「空亡」と呼んでいるか
空亡の成り立ちですが、東洋占星術で使われている暦(旧暦、農暦、昔のカレンダー)の成り立ちを追う事で見えてきます。
少し難しく感じるかもしれませんが、この基礎的な前提部分に何を空亡と呼んでいるか?があります。
1〜10の数字ではなく、1〜10の数列と1〜12の数列が、漢字で書かれています。
十干(じっかん)甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
十二支(じゅうにし)子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥
これを一文字づつ組み合わせて、六十種類の漢字二文字が、決まった順番でループしていきます。
2文字で1セット。これを干支(かんし)と呼びます。
例に1番目の干支を挙げてみます。
上記の通り1番目の十干は「甲」(こう)、1番目の十二支は「子」(し)、
合わせて「甲子」。(こうし orきのえね)
高校野球のメッカ「甲子園」は甲子園球場の完成した年、1924年(大正13年)を旧暦に直すと甲子(こうし)年。これが名前の由来と言われています。
この調子で、一文字づつ十干と十二支を組み合わせていくと、10種の文字配列と、12種の文字配列、組み合わせて60種類の組み合わせが完成します。
これを「六十干支」と呼びます。東洋系の占いを使うのであれば、英語学習時の「A,B,C…」ぐらいの土台知識になっています。
「空亡」とは、上に10個文字配列が並んで、下には12個文字配列があるので、簡単に言うと
11番目と12番目の十二支には、上(空)に乗せる文字が足りないね!
という状態を言います。(ちなみに大殺界や天中殺も名前変えてるけど一緒!)
1旬 | 干グループ + | 支グループ = | 干支 |
1 | 甲 | 子 | 甲子 |
2 | 乙 | 丑 | 乙丑 |
3 | 丙 | 寅 | 丙寅 |
4 | 丁 | 卯 | 丁卯 |
5 | 戊 | 辰 | 戊辰 |
6 | 己 | 巳 | 己巳 |
7 | 庚 | 午 | 庚午 |
8 | 辛 | 未 | 辛未 |
9 | 壬 | 申 | 壬申 |
10 | 癸 | 酉 | 癸酉 |
11 | 無し! | 戌 | 乗っけるモノない!戌 |
12 | 無し! | 亥 | 乗っけるモノない!亥 |
この1から10番目まで(甲に始まり、癸で終わる)を1グループとして「旬」(しゅん)と呼びます。
最後の11番目と12番目の戌と亥は、上に乗っけるもののない十二支。つまり1旬目の空亡は「戌亥」です。
この戌と亥は、2旬目の1甲 2乙を頭に乗っけ、このままこの順列は続いていきます。
2旬 | 干グループ + | 支グループ = | 干支 |
1 | 甲 | 戌(1旬目の11) | 甲戌 |
2 | 乙 | 亥(1旬目の12) | 乙亥 |
3 | つづく… |
以下略
(2旬目の空亡は申酉。最後に余ります。)
空亡とは上に乗っけるモノのない支、「空の亡い」支という意味です。
「甲子」から始まる干支グループは1旬目で、空亡しているのは「戌と亥」となり、「空亡」は各旬に2文字づつ、六十干支で旬は6旬あるので、6種類の空亡がある事になります。
四柱推命界で使われる空亡は
各個人の誕生日を干支暦に直したものを「命式」(めいしき)と呼びます。この暗号や暗示を解いていく事が、占いです。
更に上記の十干十二支には五行(東洋哲学内で使われる、見えないエネルギーの5つの分類)が一つ一つ配されています。それを自然界の具体的なものに例えたものが有名な「木火土金水」(もっかどこんすい)です。
適当につくった命式ですが、こんな人が居たとしましょう。無料占いでも良く出されるのはこのタイプの命式だと思います。
一番上の段に、「日柱」と書かれた所が、生まれた日付を表すものです。
縦に2文字、戊子(読み方は、ぼし or つちのえね)、とあります。
世間で使われている四柱推命が採用している空亡は、生まれた日から算出している事が多いです。
戊子が登場する旬は3旬目。
3旬目の空亡は、午未。一番下に、「午未空亡」と書かれていますね。
僕の友人がどこかの四柱推命鑑定で、「空亡(くうぼう)の年だから悪い事が起こる」と言われたのはこの部分です。(例題の命式は友人ではありませんし、存在しません。プライバシー保護のため実在しない命式を書きました。)
旧暦や干支暦でいうところの「午と未」が来る年は、あなた(「戊子」の日に生まれたアナタという意味)は空(天)からの助けを得られませんよ、空が亡いですよ、助けがないのだから運が悪い、自分で頑張るしかないのでシンドイ。こう言う時は粛々と過ごして次のいい運気が来るまで新しい事は控えましょう。
こう言い渡すわけです。
占い的に謎を解いてみよう
本当にこの場合、午と未はキケンな運勢なのでしょうか?
諸事が停滞していて、新しい事をするのはご法度、恋愛も良い出会い無しでしょうか?
この暗号を正しく解析するのならば、むしろ「午や未」はこの命にとってもっとも重要で欲しくてたまらない生命線、「開運の星」です。
なぜなら四柱推命は、五行の相性や互いの力量を見ていく占いだからです。「〜〜があるから凶運」と断定は出来ません。ある場合や時期においてはOK、でもある場合やこの期間だけは、何かの五行が過剰or不足という事があります。
実際の鑑定に近い分析をしてみます。
この投稿では、六十干支に配された五行は省略しているので要点だけ書くと、この空亡とされている「午未」の十二支に配当されている五行は「火星(火行)」です。
上の命式は戊の日(五行でいうと土行)に生まれて、秋月に属しているので、大きく金星に傾いています(本人は弱る)。それだけでなく色々な所から崩れる暗示もあります。
戊を助ける味方になれる五行属性は、火行のみ。土行を助ける親となるからです。
占いの世界に少し触れた事がある人は、「土星は?」と思うかもしれませんが、土行も実質味方しません。
なので午の年と未の年が巡る時は、災難に注意が必要というよりむしろ、周りからの助けがあり本人の自助努力も行い易く、大きな転換期を迎えるのにもってこいの時期、というのが本筋です。
(そもそもこの人物が本当に実在するとすれば、この文字の配置的に元から注意力散漫なので、空亡の年だけ災難に注意するのではなく、一生涯なにかと不注意、不用心、忘れもの、ウッカリに注意が必要です。)
たまたまこの命式において空亡の五行が本当はメリットがある五行だっただけで、人によって凶作用がある空亡も存在します。
でも人ごとに違うのであれば、空亡、大殺界、天中殺は悪い年、警戒が必要。という「法則」は成り立ちませんよね?
では空亡は無し!それでOK?
すみません。一応「空亡」という概念自体は存在します。でも最初にお伝えした通り、「違う占いで使うもの」です。
「断易」「五行易」という別の東洋系の占術で使われています。
修得が難しい占いと言われてます。
占的(せんてき。占いたい事)に対してハッキリと白黒(吉凶)を出し、結果が出る時期まで求める、判断の現実的な占いです。この時期を求めるという点が、「空亡」を正しく使う時の視点です。
六十干支通り日付が進行すると、その旬の空亡が解除されるのは次の旬に入った瞬間から。
この投稿の始めに書いた「甲子」を例に数えます。
甲子の干支は1旬グループ、空亡は「戌亥」、甲子の空亡という作用が解除されるのは2旬目に入るまで。つまり10日後。
これを「出空」(しゅっくう)と呼びます。2旬目の空亡は、もう「戌亥」ではなく「申酉」になっているからです。
無くし物、失せ物を占うのであれば、それがいつ出てくるか?事態が進行するか?など、次に出空するのが何日後なのかを数え、「この日に失せ物が見つかりますor事態が動きます。」のような占断(せんだん。断定する)をするのに使います。
四柱推命はその人の生年月日から、一生分の四季を占う見つめる期間のながーーい占いです。生まれた日付の空亡を数えても、あんまり意味がありませんよね?10日以内には終わる(次の旬に入り出空する)ものなので。
なので生年月日に基づく占いで、この概念を使っているのであれば、その占い師の個人的な経験則に基づく、四柱推命から少し離れ応用の域に入っている(仙人級の占い道を歩んでる) or 単に教科書の暗記、空亡=凶、の様な、元の干支や五行の相性を見る事をやめてしまった違う占い、ではないかと思います。
お伝えした通り、四柱推命以外では使うので、占術をブレンドしている人も引用されているかもしれません。
大前提
占いには、国家資格は存在しません。民間資格があっても、その人の実力を担保するものではありません。
権威性で優劣が決まるものでは無いですし、相談者に必要な情報かどうか、終わって少し時間が経たないとわかりません。
実生活に活かし、芽を出すのに明日すぐとはいかないでしょう。
間違って使ったところで、相談者がメキメキと更生してしまったら、そのセッションは割と「アリ」だった事になってしまいます。
その相談者は多分占いじゃなくて筋トレでもコンサルでも立身出来たかもしれません。
占いが怪しい世界、インチキだと思われる所以も、そんな所にもあるのかな?と考えてしまいます。
1個の誤解や理論を解説するのにここまで長く書く必要があると(大雑把に書きました)、世の中の熱心でまじめな占い師はこんな事にエネルギーはさかず淡々と勉強をして、身近な人を助けている事かと思います。有名な占い師以外にも有能な方は沢山います。
他人の占いに口出しする必要は?
僕が占いを勉強し始めた頃は、今思えば混沌としていたように思います。
ちょうど新型感染症の流行りはじめで、副業や在宅業、講師業ノウハウ、金融や投資の常識情報などが爆発的に需要を伸ばしていた期間でした。経済的に困窮している人や、精神的にも辛い人にとって、再度新たにスポットを浴びた業種のひとつに「占い業」もあったのではなのではないかと、解釈しています。
それと合わせて、一般の占い客や相談者見込みの人たちに「それキケン!本物じゃないよ!」と警告を発するベテラン占い師や、「本当の四柱推命はこうです。」と、所属団体名や自分の師の名前、流派をチラつかせる人も、たくさん居たと思います。
あなた騙されていますよと、言うわけですね。
勝手に四柱推命警察と呼んでます。
本当の超高額なお金のトラブルや詐欺などは、現実的の警察や法律相談をしましょう。
でも、あれは占いではないこれが本物と、ネット上のみで警察を増やしても仕方ありません。知識や知恵は間違えたものを責めるため、争うために使う物ではありません。照らし、ほっとさせる暖かい光です。間違いを処すなら、もはやそれは業火です。
最初の暗闇の中の縄の例えですが、自分を怖がらせてきた毒ヘビだと思った縄を、あなたはわざわざ焼き払いますか?
まとめ、学ぶと怖いものが減る
空亡がどういうもので、いつ使われるものなのか?恐怖心ではなく好奇心を持って学ぶと無闇に怖がる必要も無いのではないか?と考えて書きました。占いの結果に拘束されるのではなく、ぜひ好奇心をもって自分を見つめる機会にしてください!
占いにも流行りや世代があります。僕の両親も大殺界ブームの最中に子育てをしていた人物で、家に何冊も危険な年を注意喚起する占いの本がありました。
自分の洗脳や思い込みを解くのも、自らの勉強・鍛錬です。
ヨガに関しても、占いに関しても、知に対して開かれている社会である事を僕は望みます。
そして目に見えない話だからこそ、身体を整えたり肌や内面で感じて自分を育てましょう。
僕の占いも理論に始まり、現実を見て、日々腕を磨いています。
みんなが扱う今の理論も、時代と研究が進み間違いに気づいたのなら、
その時はまたみんなで、学び直しましょう!
1つめの投稿がこんな感じになりましたが、これからもヨガや占いについての事を発信していきます。かなり大雑把な解説でしたが、あまり占いをしない方にも参考になればと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。